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2022年7月12日

日本のコレクティブインパクトの実践についての勉強会

2022年5月12日、第4回研究者コンソーシアムが開催されました。これまで学んできた「コレクティブ・インパクト」のアプローチを日本で実践されている日本マイクロソフト株式会社政策渉外・法務本部 社会貢献担当部長の龍治様(「きょうそうさんかくたんけんねっと」のエンパワーメント・パートナー)より「官民NPO連携に基づいての社会的インパクト」についてお話を頂きました。


 まず、マイクロソフト社のミッションを日本特有の社会・政策課題と重ね合わせ、パズルのように組み立てながら、IT企業として(情報連携・情報共有等の取り組み)どの分野で貢献出来るか、誰一人取り残さない社会を目指すにはどのようにSocial Impactを創出出来るか、日本マイクロソフト社が認定NPO法人育て上げネット・認定NPO法人日本難民支援協会・NPO法人シングルマザーズシスターフッドとともに実施されている「Global skills Initiative」プロジェクトの構想プロセスを共有頂きました。また、連携されているNPOとの協働、実施体制、コレクティブインパクトの「共通のアジェンダ」(誰もがデジタル社会の一員として活躍できる)の策定プロセス、主なアクション・計画やKPIの設定プロセス等について共有頂きました。意見交換の場では、参加者より以下の意見が出されました。


(課題が先か、協働が先か)

課題があってそこに協働が始まる方法か?それとも集まってから課題が固まったのか?⇒私たちは課題ありきではなかった。どういう社会でありたいか、次世代に何を残していきたいか、(シングルマザーやニートの方等)自分たちで解決出来ることと出来ないことは何か、という思考から、課題を焦点化していった。


(教育とコレクティブインパクトの関係性)

教育においてコレクティブインパクトの事例が少ないがどのように取り入れたら良いか?⇒教育こそコレクティブインパクトに適していると思う。日本は学校の先生に依存しているところが多い。米国では(州ごとに格差はあるが)自分たちの教育への関心の高さから、学校教育へのボランティアが盛んであり、次世代育成のための国家予算に投資するところまで行っている。この国の将来、次世代育成と言う問題には国民全員で取り組まなければならない。教育こそコレクティブインパクトである。


(コレクティブインパクトにおける異なる組織間の目標設定)

向かうべき目標について、異なる組織で各自目指すことが異なるため纏めるのは難しいのではないか?⇒私は「一粒で二度おいしいということ」をどうやれば出来るだろう、と考えて提案している。皆が幸せになる方法を考える。就労支援でご一緒する方、日本の従来の社会慣習に埋もれていた方が一気にデジタルエコノミーに参画出来るようになるには、どのようなマインドセットが必要かを考えて組み立てている。


(コレクティブインパクトにおける研究の役割)

コレクティブインパクトの実践について、研究はどのような役割を担うべきだと思うか?⇒コレクティブインパクトの経験を本にされる段階で、研究者の方が言語化・可視化して下さった。実務側が体感でやっていたことを他者の視点で分かりやすい文章で書き、広めて下さる。それは自分たちの苦労を多くの方に伝え、失敗したことを他の方が繰り返さないよう発信して下さるということ。有難い存在である。また、そのためには実務側とはある程度距離を置く「メンター」のような存在である必要もあるかもしれない。


研究者コンソーシアムに多くの学びを与えて下さった龍治さんに心より感謝申し上げます。


参考URL:https://gsi-jp.com/#about

https://www.microsoft.com/ja-jp/mscorp/msp/sms-techempowerment.aspx


【Global skills Initiativeについて(日本マイクロソフト株式会社様の取り組み)】




研究者コンソーシアム

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