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ストーリー

2022年1月26日

KSTN EPの柳本先生がカリキュラム・オーバーロードの解消事例をOECD数学ワークショップで発表されました

柳本一休先生が、カリキュラム・オーバーロードの解消方法についてOECDの数学ワークショップで発表されました。


OECD Education and Skills 2030は、本年度発行予定の数学カリキュラム分析報告書に向けて数学ワークショップを3度行いました。1回目は数学の評価と生徒の取り組み、2回目は数学の教授法、そして3回目は数学教材(デジタル教材を含む)について話し合われました。


そのうちの第2回目は2022年1月27日(木)10:00-13:00(17:00-20:00 JST)に開催され、福井県の鯖江市鳥羽小学校の教頭であり、またきょうそうさんかくたんけんねっとのエンパワメント・パートナーでもある柳本先生が、中学校の数学教師を務めていた時のご自分の経験を踏まえたカリキュラム・オーバーロード解消の事例をご発表されました。


柳本先生の発表は「How to address curriculum overload by focusing on big ideas - Example from 2nd year Junior High School Math -(ビッグアイディアに焦点を当ててカリキュラム・オーバーロードを解消する 〜中学校2年生の数学の事例をもとに〜)」と題され、生徒が数学と歴史の教科横断カリキュラムをデザインした経験をご説明されました。その際、生徒たちにとって身近で現実的な問題である地震に関する問題を提起し、前回の授業で扱った内容(確率)を地震に関連付けて考えるようにしました。



さらに日本未来科学館からサイエンス・コミュニケーターをオンラインでお招きし、科学博物館の企画展であった「未知なるものを予測する」というテーマをもとに、生徒たちは地震以外の脅威に関する社会的感心が、時間と共にどう推移するかのマッピングを行いました。



この時に生徒たちは、既有の知識に基づいて、自動運転車や過労死、ワークライフバランスの非均衡化などを脅威のテーマとして挙げました。



柳本先生が同僚とデザインされた教科横断カリキュラムでは「変化」と「予測」をビッグアイディアに据えられました。首都直下型地震が起きる確率を予測することを課題として提示することで、生徒たちは確率・関数・統計について学習できたと同時に、教師は確率、関数、統計の指導時間を削減できたことについて説明されました。つまり、教科書にしたがってこれらの内容を習得活用してから、教科横断の探究的な学びを展開するとおよそ20時間かかるところを、新しくデザインした教科横断カリキュラムでは6時間で展開できたこと、またそのためにビッグアイディアを導入することが必要であることに言及されました。



OECD E2030出版のカリキュラム分析報告書「カリキュラム・オーバーロード:解決への第一歩」によると、ビッグアイディアはカリキュラムにおける中核的な概念として次のように説明されています「異なる角度から検討されることで、複数の学問領域にとって重要な役割を果たします… ある学問領域において何が「ビッグアイディア」であるかを明確に示すシンプルさは、教師が学習内容項目のレベルで過度に規範的になるのではなく、余裕のないカリキュラムで何を優先するかを決定する際に焦点を保てるようにします」(2020, 16)。


このように、現実にある社会的な脅威を題材に確率・関数・統計を学ぶことで、生徒たちは数学が社会のウェルビーイングに貢献することを実感することができ、さらに数学を学ぶ理由が明らかになることで学習のモチベーションを高められたということについて説明されました。教師のカリキュラム・オーバーロードを解消しながら生徒の学びを促進できたこの事例は、教師エージェンシー、想像力、そして教科を横断してテーマ(点)をカリキュラム(線)にすることが生徒の感心をひく授業をデザインすることにつながるのだと、ワークショップに参加した世界中の教師や研究者から評価されました。


柳本先生のご発表に関する詳細は添付のパワーポイント資料をご覧ください。この事例は本年度発行予定のOECD E2030数学カリキュラム分析報告書に掲載される予定です。



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